Next to…

「ありがとうございます」

「ほんとにさ、こいつらの集団はロクな奴が居ないだろ?大丈夫?なんかされてない?」

「あ、大丈夫です」


そんなおっさんに困ったように芹奈先輩は苦笑いを始める。

やっぱ来る店、間違った。


「あー、もう、おっさん。余計な事言わなくていいから。それより俺にも水」

「おー、お前のまだだったか」


急ぐそぶりも見せずに、おっさんはメニュー表を芹奈先輩に見せる。

だから水だって。

心の中で軽く舌打ちをし、俺は仕方なく自分で前のめりになりながらカウンター越しにある水を入れる。


「つか、おっさん。いつもそんなきちんと接客してねーだろうが」

「あぁん?お前、何言ってんだよ。いつもこーじゃねーかよ」

「はぁ?全然ちげーだろ。まじビビるわ」

「いや俺はお前の方にビビってるよ。女の子なんて連れて来た事ねぇのにどうしたんだ?しかもどえらい美人で。俺のな昔の女に似てるわ。もうそりゃあ美人だったよ」

「嫁じゃなくて昔の女かよ」


どこまでも驚かせるわ、このおっさん。

しかもこんな時にそんな話すんなよな。

芹奈先輩はクスクス笑みを漏らしてるけど、俺からしたら最悪。
< 45 / 148 >

この作品をシェア

pagetop