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「ありがとうございます」
「ほんとにさ、こいつらの集団はロクな奴が居ないだろ?大丈夫?なんかされてない?」
「あ、大丈夫です」
そんなおっさんに困ったように芹奈先輩は苦笑いを始める。
やっぱ来る店、間違った。
「あー、もう、おっさん。余計な事言わなくていいから。それより俺にも水」
「おー、お前のまだだったか」
急ぐそぶりも見せずに、おっさんはメニュー表を芹奈先輩に見せる。
だから水だって。
心の中で軽く舌打ちをし、俺は仕方なく自分で前のめりになりながらカウンター越しにある水を入れる。
「つか、おっさん。いつもそんなきちんと接客してねーだろうが」
「あぁん?お前、何言ってんだよ。いつもこーじゃねーかよ」
「はぁ?全然ちげーだろ。まじビビるわ」
「いや俺はお前の方にビビってるよ。女の子なんて連れて来た事ねぇのにどうしたんだ?しかもどえらい美人で。俺のな昔の女に似てるわ。もうそりゃあ美人だったよ」
「嫁じゃなくて昔の女かよ」
どこまでも驚かせるわ、このおっさん。
しかもこんな時にそんな話すんなよな。
芹奈先輩はクスクス笑みを漏らしてるけど、俺からしたら最悪。