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店でおっさんと他愛ない会話をし結局出たのは18時半を回ってた。
「ごめんな、話に付き合わせて」
「全然。楽しかった。それにあたしのお礼なのに奢ってもらってごめんね」
「別に」
「なんか、あぁ言う自然な雰囲気ってやっぱいいよね」
「まぁな。でもあのおっさん、ホント訳分かんねぇ話、多すぎだろ。あの店の吉兵衛って名前、自分の名前だしよ」
「えっ、そうなの?」
「店だした時に名前が思いつかなくて、もう自分の名前にしちゃえって思ったんだと。マジうけるわ」
「でもなんか、店にあってるよね。しっくりくる」
「だろー、俺も思った。すっかり今では馴染んでっしよ」
「透哉君はいつからあの店に?」
「あー…いつだっけかな…」
思い出そうと頭を捻った。
そして記憶を辿って思い出した瞬間、苦笑いの笑みが込み上げて来る。
決していい思い出なんかじゃない。
今、思うと、途轍もなく馬鹿な馴れ初めだった。
「なに?どうしたの?」
笑う俺に芹奈先輩が不思議そうに俺の顔を覗き込む。