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「なんかこう言う雰囲気好きだな」

「え?」

「誰かに縛られるのって、よくないよね」

「……」

「愛情表現とか言うけどさ、よく考えて見たら。それって何?って感じで、分かんない」

「……」

「遠回しにされても意味ないよ。自分を守ろうとして相手にそんな風に言うのっておかしいよね」

「……」

「だからホント、こういう自然体がいいんだよ。…ってごめん、あたし何言ってんだろ」



芹奈先輩は困ったように笑いスマホを鞄の中に仕舞う。

また悲しい笑みを見せる芹奈先輩から思わず視線を逸らした。

先輩が何を求めて何を言ってるのかなんて正直、俺には分かんなかった。

その言葉は誰に対してのものだったかなんて分かる訳がない。


頭の中に過って来るものと言えば、最終的に涙を流してた先輩が出てくるわけで、それが原因だろうと俺は勝手に結び付けてしまう。

俺が、相談に乗るから。って、俺を頼って。って言うのとは違う気がして。


「じゃー自然体求めて旅すっか」


そんな馬鹿みたいな言葉しか、今の俺には思い浮かばなかった。


「え、旅?どこに?」


さっきとは打って変わって笑みを漏らす先輩。


「うーん…その辺」

「その辺って、なに?」

「わかんねぇ。自分で言ってても分かんねぇ…」

「もうなんか透哉君と居ると、調子狂うな」

「は?なんで?」


芹奈先輩は苦笑いで、犬とジャレ合う。

綺麗にネイルされてる細い指がコイツとジャレ合うたびに、何故かコイツが羨ましく思ってしまった。



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