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染終わったと、ヒロさんは俺の髪を無造作に遊び始めた。

久々に変えた髪の色に新鮮さを覚える。


「凄い、よくね?この色」


ヒロさんは毛先を遊ばせながら鏡越しから俺に視線を向けた。


「思ったよりも銀じゃね?」

「銀っつーか白に近いかも」

「あー…なるほどね」


一度色を抜いてその上からアッシュに染めた所為で、透き通る色合いが自棄に綺麗に見えた。


「透哉お前、夏休み何すんの?」

「なんもしねーし」

「あれ?バイトは?去年してなかった?」

「だってあれテツの誘いだったし」

「あー…夏の海の家?」

「そう」

「今年しねーの?」

「誘いねーし、あっても行かねーわ」

「なんで?海の家いいじゃん。むしろ俺が行きてーわ。泳げんだろ?」

「泳げねーし!むしろそんな時間すらなかったわ」

「えー、マジ?あ、晴馬も行ってたよな」

「晴馬先輩はほぼ遊び。オサムは女狙いで働いてたからな」

「おー、なんか分かる気するわ。はい、出来た。ちょい写真撮るわ」


ヒロさんは後ろから、横からとカメラに髪形を収めていく。


「つかヒロさん、俺を呼ぶ時いつも適当じゃね?」

「うーん…そうかな。なんか思いついたりいい案出た時とか」

「すげぇ急でいつもビビんだけど」

「あー、悪いなマジで」


そう言いながらもヒロさんはクスクス笑みを浮かべた。
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