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美容室を出て、俺はここからそう遠くは離れてない、おっさんの店に向かった。
昼も食わずに時間は過ぎ、もう16時になろうとしている。
店に着いて中に入ってすぐ、
「おー、透哉、久しぶり」
一緒に停学をくらったダイがクスクス笑いながら手を上げた。
その横にはテツが一緒にラーメンをすすっている。
「おっさん、いつもの」
「はいよ。おー透哉、昨日の美人なねーちゃんと一緒じゃねーのか?」
「毎日いねーって」
むしろ夏休みに入ったから会う手段も何もない。
連絡先すら知らねーのに。
「え、お前何?美人なねーちゃんって誰?新しい女?」
テツはラーメンをすする箸を止め、興味津々に俺に視線を向ける。
「誰でもねーから」
「お前、俺に隠し事かよ」
「それよりお前、この飯代払えよ」
それ以上、深くこの話にのめり込んでほしくはないが為に話を逸らす。
その瞬間、テツの眉間に皺が寄った。
「あぁん?何でだよ、」
「当たり前だろ。なぁダイ?」
目の前に座っているダイに視線を向けるとダイは数回頷き箸を止める。
「おぉ。俺はむしろそのつもりで来た」
「あぁ!?」
更に顔を顰めたテツの張り上げた声が店の中を反響した。