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ある日の夕方。


「うわ、俺なんか女子高の女と会うの楽しみだわ」

「だからと言ってお前、結局は特定の奴つくんねーじゃん」

「それはお前もだろ」


オサムとテツが盛り上がる後ろで俺は仕方なくと言った感じで足を進めてた。

むしろ俺には興味すらなかった。

人数合わせかなんだか知らねぇけど、全く興味がない。


駅前を通り過ぎ繁華街に向かって足を進める。

そして何気に向けたその俺の視線が止まり必然的に足までも止まった。

色んな店が並ぶその細い路地にある一角。


微かに見える、おっさんの犬を撫でているその芹奈先輩が目に映った。


「おーい、透哉。なにしてんだよ」


オサムの声に俺は振り返り「悪い」とだけ告げる。


「え?なんだって?」

「悪い。今日行けねぇわ」

「はぁ?お前も来ねーと盛り上がんねーじゃん」

「つか俺、盛り上げ対じゃねーし。悪い、用事思い出した」

「はぁ?んだよ、」


背後からテツとオサムのグダグダ言ってる声が聞こえて来る。

だけどその声すら無視して俺は芹奈先輩の方へと足を進めた。


「…芹奈先輩?」


俺の言葉に振り返った先輩は、「あ、あぁ…」とぎこちない笑みを浮かべる。


「久しぶりだね。髪の色変わってるから分からなかったよ」


そう言って芹奈先輩は言葉を繋いだ。

あの日から3週間近くは会ってないんだろうか。

久々に見る芹奈先輩に何故かホッとした。


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