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「でも全然泳げねーしな」
「そうなの?」
「そんな泳いでる時間もねーほど忙しい。多分、今日とか晴馬先輩行ってる」
「え、そうなんだ。晴馬も行ってんだ」
「つか晴馬先輩とよくいるんじゃねーの?」
「えー…居ないよ全く。夏休み入ってから一度も会ってないよ」
「え、マジ?」
「学校ではさ、晴馬との噂が流れてるからみんなそう思うの。ほんと思うんだけど、ありもしない噂なんか流さないでほしいよね…」
「……」
「ほんと迷惑」
キッパリと言葉を切り捨てた先輩は苦笑いとでもいいような笑みを浮かべた。
「ごめんな。俺の所為でもあるよな」
「え?」
「俺の事でも色々言われたんじゃねーの?」
隣に居る芹奈先輩にチラッと視線をうつすと先輩は頬を緩めながら軽く首を振った。
「大丈夫だよ。あ、ここだから」
指を差す方向に一軒の家が見える。
「ここで待ってる」
玄関を前に俺は一声かける。
「え、いいよ入って。誰も居ないし」
なんて言う芹奈先輩がやっぱり物凄くガードが緩いと思った。
いや、そんな簡単に男いれんなよ。
むしろ逆にそんな簡単に男居れてんのかよ。なんて思ってしまう。
なのに、そんな事を考えておきながら何故か俺の足は進んでた。