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「お前いつも先輩と何話してんだよ、」
何故か犬にまで嫉妬をする俺はどうにかしてる。
自分が自分じゃないように、そんな事を聞いてしまった自分が馬鹿らしくなる。
「ごめん。お茶しかなかった」
「どうも」
テーブルに置かれた瞬間、カランと音を立てた氷がグラスを透けて光る。
それに手を伸ばし俺は乾いた喉を潤した。
その間、芹奈先輩は一度、リビングを離れると再び戻って来た。
「はい。これだよ」
差し出されたのはスケッチブックで、そこに描かれてるのはおっさんの犬。
「すげぇ、リアルすぎて言葉失うわ。画家にでもなんの?」
「ならないよ!」
「って何でそこ強調した?」
「友達にも言われるから。ねぇそれよりこのワンちゃんの名前って何?」
「あー…、おっさんは吉助とか呼んでる。メスなのに」
「えっ、なにそれーウケる」
「で、俺のダチはコロ助とかポンタとかワンコとかポチとか…」
「え、なにそれ。みんなバラバラじゃん。じゃあ透哉君は?」
「俺?…犬」
「なにそれ。一番ひどくない?」
芹奈先輩は驚いたように声を出して笑う。
「ひどくねーよ。そんな俺が一番お世話してやってんのに」
「そうなの?」
「通りかかったら寄ってる。だから今日も目についたら先輩が居た」
「そっか…」
「なんかの帰りだった?」
「うん、バイト」
声のトーンがいっきに落ちたように感じた。
何があったのかは知んねえし、俺が深入りすることもない。