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「ほか何、描いてんの?」
そこからの言葉を失って、話を変えようとした瞬間、「あ、ダメ!」画用紙を捲ろうとした俺の手を芹奈先輩が掴んだ。
「え、なんで?」
「ダメだから」
「見られちゃダメなもん描いてんの」
「描いてる」
「じゃ尚更見たい」
「だからダメだって。恥ずかしいから!」
「恥ずかしい?」
ちょっと意地悪だったのかも知れなかった。
必死になって奪い返そうとする芹奈先輩を何故か面白おかしく俺は笑いながら芹奈先輩から遠ざける。
「うん。ほんとダメだっ――…」
勢いあまってかガクンと態勢を崩してしまった芹奈先輩の身体が俺に覆い被さる。
仰向けに倒れてしまった目の前には芹奈先輩の顔があり、ほんの後、数センチで鼻と鼻がくっ付きそうな距離まで密着してる。
芹奈先輩の長い髪が俺の頬に何度も擦れ俺の心臓が高鳴ってしまった。
真上にいる芹奈先輩の目が不意に重なる――…
「ご、ごめん」
慌てて身体を起す芹奈先輩は乱れた髪を整え、深呼吸をする。
「別に」
そう何もなかった様に俺は素っ気なく返し、身体を起した。
「お、お茶入れるね」
慌てた様に芹奈先輩は画用紙絵本ノートとグラスを持って立ち上がる。
キッチンに入って行った芹奈先輩に深いため息を吐きながら乱暴に髪をかき乱した。
ただ、俺には聞きたい事があった。