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「なぁ、何で俺誘ったりした?」

「…え?」


もう一度グラスをテーブルに置こうとする先輩に俺は問いかけると困惑した芹奈先輩の声が耳を掠めた。


「だからなんで?」

「何でって、見せるって約束してたから」

「約束だけでそんな簡単に男誘って家なんか居れんなよ。ガード緩すぎ。襲われんぞ」

「…透哉君だけだよ」

「え?」

「他の人なんて誘った事ないよ。透哉君だけだよ。だって晴馬の友達でしょ?晴馬も来てるし」

「晴馬先輩とは腐れ縁じゃねーの?でも俺とは違う。晴馬先輩の友達だからっていい奴とは限んねーよ。こんな奴いっぱいいるけど、」


何を思ってしまったんだろうか。

ソファーに座っている芹奈先輩を押し倒してしまった。

なのに芹奈先輩は怯える事も目を泳がす事も何もない。

ただ俺をジッと見て、「分かってるもん」そう小さく口が開いた。


「分かってる。透哉くんはそんな事する人じゃないって」


何を根拠にそんな事言ってんだろうと思った。

ただ俺は見た目と違う芹奈先輩のギャップに焦ったんだと思った。

他の男を誘った先輩がこうならない為にも釘を打ちたかったんだと。


「俺も男だけど」

「……」


そう言って俺は先輩の唇と重ね合わそうとした。

なのに先輩は離れる事も声を上げる事もなくただ茫然としていた。


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