Next to…

「俺よりお前の方が知ってんだろ」

「あのな、俺イコール芹奈じゃねぇからな。周りはくだらねー事、言ってっけど、俺マジあいつの事しらねーし」

「……」

「むしろアイツがバイトしてた事すら知んなかったわ」

「……」


なぜ芹奈先輩はバイトの迎えを晴馬先輩に頼んでるのだろうか。

そこが一番俺の中で気になるところで。


「お前も吸う?」


不意に差し出された箱に、「いや、」と小さく呟き珈琲を口に含む。


「あれ?珍しい。辞めた?」

「そんなんじゃねーけど」

「ふーん…」

「なぁ、芹奈先輩のバイト先に居る奴って誰か知ってる?」

「は?知らねーし。だから俺、迎え頼まれた時にアイツがバイトしてるって知ったんだから、働いてる奴の事まで知んねーし」


″なんで?″付け加えるかのように言葉を出し、晴馬先輩はタバコを咥え煙を吸う。


「いや、何もねぇけど…」

「それよか俺さ、ここ一週間ほぼ芹奈迎えに行ってるわけよ。夏休みだからって詰め込んでっからほぼ毎日だし。俺も迎え行くほど暇じゃねーっての」

「……」

「誰か代わりに来さそうかと思ったけど、俺以外無理とか言うし。マジわけわかんねぇわ」

「で、俺にどうしろって?」

「なんかあるわ、アイツ」

「で?」

「オチなんかなんもねーわ」

「だったら言うなよ」


だからって俺にどうしろって?

むしろあの日以来、俺にとったら物凄く会いずれぇしな。

< 80 / 148 >

この作品をシェア

pagetop