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「わぁー!透哉みっけ」
暗い空気の中、甲高い声の所為で俺と晴馬先輩の視線が一気に向く。
「あ、晴馬先輩も居るー相変わらずイケメンですねー」
続けられたテンション高めのイチカの声に思わずため息を吐き捨てた。
「おぉイチカちゃん久々。え、一人?」
「そんな訳ないですよ。透哉見掛けたから来ただけ」
「相変わらず透哉の事好きだねー」
晴馬先輩はタバコを咥えたままクスクス笑みを漏らす。
「好きなんです。透哉の顔が」
「あはは。顔って何?顔だけ?」
「だって透哉凄く冷たいんですよ!!信じられないくらい」
「あー…まぁ透哉は冷たいでよく振られてっからな」
「それに比べて晴馬先輩は透哉と違って優しいですね」
「ん?俺はただ女に優しいだけ」
「もぅそこが素敵なんですよ」
「そう?嬉しい事言うね。きっと透哉も本命だと優しいと思うけど」
「え、本命?」
イチカが俺と晴馬先輩を交互に見つめてくる。
何を思って言ったのか、誰の事を言ってるのか知らねぇ晴馬先輩に軽く舌打ちをしてしまった。
そんな俺の横で晴馬先輩は面白おかしくクスクス笑っている。
「本命って誰ですか?」
やっぱりきた。イチカの質問詰めが。
余計な事言うなよ、なんて思いながら視線を晴馬先輩に向けて少し睨む。
案の定、先輩は頬を緩めながらイチカに視線を送った。