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「さっきの芹奈。LINE入れたけど返事ないから電話してきた」
「なんで俺?」
「だって俺、花火に浸りてーじゃん」
「つかそんなガラじゃねーくせに…」
「マジ頼む。一応俺、芹奈の腐れ縁だから心配してんの。そんな事普段いわねぇアイツだからよ」
「だったらお前が行けよ」
「だから花火見るっつってんだろ。原付貸すから」
話が終わらなく、強制的に言われ何故か俺の足は晴馬先輩が言われた場所に向かっていた。
面倒くさいとは思わないが、正直何話したらいいのかわかんねぇ。
行きかう途中、路上に立ち止まって見上げる人の歓声が耳に張り付く。
その人ごみが多い中から駐輪所に向かい借りた原付に鍵を差し込んだ。
ここから一駅。
学校の最寄り駅の場所。
栄えてる東口じゃなく、西口。そこに着き俺はそのビルを見上げた。
ここで待ってたらいいのか。どうしたらいいのか悩んだ。
そして原付に跨って晴馬先輩に聞こうとした瞬間、「え、透哉君?」なんて先輩の声で俺は顔を上げた。
「え、なんで?」
戸惑うのも無理もない。
長い髪を頭上で束ね、その所為で耳にキラキラ光っているピアスが自棄に輝く。
斜め訳の長い前髪を耳に掛けながら芹奈先輩は目を泳がしてた。
「晴馬先輩、花火に浸りたいっつーから」
「はい?」
苦笑いで少し首を傾げる芹奈先輩に思わず頬を緩める。