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「訳わかんねーよな。一緒に居たから、さっきまで」
「そっか。ごめん、なんか。面倒くさかったよね?断れば良かったのに」
「全然面倒くさくねーよ。それにあの人、行く気全くなしだったし」
「だと思う。ずっとお迎え頼んでたから。晴馬に申し訳ないって、そう思ってる」
俯いて話す先輩に、「今日は俺が送っから」そう言って原付から降り、足を進めた。
「ごめんね」
そう言って後をついて来る芹奈先輩に「なんかあった?」そう言って、後ろを振り返った。
「…ううん。一人で帰るのが怖くなっただけ」
「そう」
俺には分かった。
本当の所はそんなんじゃねーって事。この人の表情ですぐ分かる。
だけど、俺には何も言えなかった。
会話が何故か続かなかった。口を開かない俺に対して芹奈先輩も口を閉ざす。
ただ一駅離れた向こうの花火の音だけが耳に入ってた。
「こんな日にバイト?」
暫く経って思いついたのはどうでもいい言葉だった。
「…こんな日って?」
「ほら。祭りだから」
「あー…うん。みんな休みとってるからさ、仕方なく」
「優しいな、先輩」
「そうかな?」
「俺だったらぜってーヤダし」
あはは。と笑う先輩はいつもの明るい声を出す。
その声を聞くとやっぱり何故か俺は安心した。