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「…この前はごめん」
「え?」
沈んだ声で話す俺に芹奈先輩は顔を向ける。
「ほら、芹奈先輩の家で…」
「あー…気にしてないから」
「うそ。めっちゃ気にしてんだろ。俺は気にしてる」
「……」
「ずっと気にしてた」
花火に視線を向ける気にもならなかった。
音だけが耳に入り込んで、他の音すら何も聞こえず、ただ俺は目の前の河原に見つめた。
時々、花火が反射して川に映る。
その濁った色合いがお世辞じゃないけど綺麗だとは言えなかった。
「あたしはね、噂で固められてるような人じゃないよ」
「……」
「自分にどんな噂がながれてるのかくらい知ってる」
「……」
「作られた噂はそう簡単に変えられる事が出来なくて、だから今の今までそんな風なあたしに今まで成り立ってた」
「……」
「だから透哉君、あたし見て全然違うって思ったでしょ?イメージと全然違うって思ったでしょ?」
「……」
苦笑いで笑う芹奈先輩はフーっと一息吐いた。
「クールでもないしガードだって固くもない。むしろ緩いのかも。だからと言ってあたしだってそこまで馬鹿じゃない。簡単に誰にでもついて行かないし誘わない」
「……」
「でも何でかなー…透哉君には気を許せちゃう。不思議…」
「……」
「でもそうした事で、透哉君に迷惑かけちゃったね。ごめんね…」
「…迷惑?」
謝る先輩に俺はすぐさま言葉をだす。
何に対して言ってんのか分かんねぇ芹奈先輩に俺はジッと見つめた。