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「萌が悪い訳じゃないでしょ?芹奈の後にアイツが入って来たんだから」

「後に?」


晴馬先輩から麻友先輩へと視線を向ける。


「そう。追っかける様にして入ったの」

「なんで?」

「芹奈の事、ずっと狙ってたから」

「狙ってたねぇ…で、そいつが芹奈先輩に?」

「あたしの口からは言えない。でも、芹奈が学校辞めるって言うくらいの事」

「……」

「もう顔、見たくないって言うくらいだから」

「なるほどねぇ…」


そう呟いた瞬間、俺は空を仰いで深呼吸した。

湧き上がるのは苛立ちと抑えきれない感情。


そんな内容聞かなくても分かる。


次々に込み上げて来る怒りが収まる事もなく、授業が終わった瞬間、俺の足はアイツの所へと向かっていた。


怒りの感情を多分コントロール出来なくなっていた。

血管が浮き出すくらい拳に力を入れる。


そしてアイツを目で捉えた瞬間、


「お前なぁ!!」


俺はそいつの胸倉を掴んで迷うことなく殴っていた。

一斉にキャーと女の悲鳴が湧き上がり、もう一度振りかざした俺の拳は避けたコイツの横を通り過ぎ、バリンッと物凄い音で窓を叩き割る。


更にキャーと言う悲鳴とともに、「いってーな、」と口元を擦るコイツの舌打ちが耳に入った。


「お前、芹奈先輩に何した?」

「あ?」

「何したっつってんだろーが!!」


俺のボルテージが加速していく。

胸倉を掴む手からポタポタ垂れ下がっていく自分の血。


さっき割ったガラスの破片が俺の手を無数に切り裂いていた。

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