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「何もしてねーし」

「あ?しらばっくれんなよ。何したって聞いてんだろーが!!」

「つかお前、何?なんで俺、お前に殴られなきゃいけねーんだよ」


しゃがみ込んで少し滲んだ口元を擦るコイツの髪を俺は掴んで更に胸倉に力を込めた。


「テメーが芹奈先輩を来させなくしたからだろーが」

「つか同意のもとでした事だろ」

「あ?同意?」


口元に笑みを浮かべるコイツに俺の表情は更に怒りになる。

つか何が同意だ?

騒ぎ立てる周りの雑音。

そして悲鳴。


徐々に俺達から姿を離れていく人たち。

そして目の前のコイツの口元が笑みを作りゆっくりと動き出した。


「…たかがヤッただけで怒んなよ」

「お前なぁ!!たかがじゃねーだろうが!!」


笑みを浮かべて言ったコイツの胸倉を更に掴み、この賑わった教室から遠ざけようと廊下まで引きずって出す。

馬乗りになって、血まみれになった手でもう一度殴ろうとした時、慌てて駆け寄ったセンコーの手で阻止される。


「おい、何やってるんだ!」


慌てて男の教師がそいつから遠ざけようと俺の身体を離していく。

納得がいくわけもない俺は教師の腕を振り払って、更に掴みかかった。


「テメーまじ殺すぞっ、」

「おい成瀬!やめろ」


また新たに来た教師に腕を止められ軽く舌打ちをする。

ポタポタと落ちてくる血が廊下を染め、だけど痛さなんか全くなかった。


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