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「お前、派手にやらかしたな」
後で来た晴馬先輩が俺の隣に来てフッと鼻で笑う。
だけどその目は全く笑ってなくて。
そして座り込んだ高木と同じ目線になって、晴馬先輩はジッと視線を送った。
「すげぇ事してくれんな。俺でも無理やり襲った事なんてねーわ」
「成瀬、ちょっと来い」
晴馬先輩の言葉の後に聞こえた教師の声に、俺は仕方なく足を進めた。
距離を置いた通りすがりの奴らの視線が俺の腕にへと向くのが分かる。
思ったより激しく切れたのか、血が止まらなかった。
手当をした後、散々教師の説教を聞かされた。
納得いかねーのは何故、あの高木が被害者になってんだと言う事で。
それもただ一発殴っただけ。
なのに何故、2週間ほどの停学を余技されたのかも分かんなかった。
だけど、後悔はなかった。
この前の停学よりも全然、後悔もなにもなかった。
そんな後悔より俺に押し寄せるのは何故、芹奈先輩の事を薄々気づいてたのにも係わらず助けてやれなかった事の方が後悔で、悔いが残る。
何故、もっと深く芹奈先輩にのめり込まなかったんだと今更、後悔した。
でも余計に俺は芹奈先輩とは会えないと思った。
むしろ俺が勝手にした事で、芹奈先輩の気分が晴れる訳でもない。
この苛立ちが消える事無く、ただ俺は忘れようと夜の街に繰り出すばかりだった。