最恐ドクターの手懐けかた
Case.1 遠藤先生とか勘弁です
「遠藤先生、赤井さんのNST終わりました」
束になった長い紙を手渡す。
彼は眉間にしわを寄せたまま、片手で乱暴にそれをひったくった。
そして、低くて荒っぽい声で聞く。
「どうだったか?」
「あの……」
「どうだったかって聞いてんだろ!!」
急に怒鳴られ怯んでしまった。
そんな私は、震える声で辛うじて答える。
「も、問題ないかと……」
その瞬間、
「問題ない!?」
再び、遠藤先生が爆発した。
すくっと立ち上がり、束ねた紙を私目がけて投げつける。
「最後十分。遅発性徐脈が微かに発生している。
体位変換と酸素吸入をしても変わらなかったら、緊急カイザーだ」
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