最恐ドクターの手懐けかた
気を取り直して、担当患者の電子カルテを見ようとした時、
「冴木」
遠藤先生が私を呼ぶ。
その声を聞いて、ビクッとした。
だけど今の「ビクッ」は恐怖からではない。
もっと恥ずかしくて、きゅんとして、胸が痛くなる「ビクッ」だ。
あり得ないあり得ないと呟きながら、出来る限り平静を装って遠藤先生を見る。
彼はその整った顔で私をじーっと見て……
胸がさらに熱くなって……
遠慮がちに言葉を発した。