最恐ドクターの手懐けかた
私は、あからさまにしょんぼりしていたのだろう。
「冴木さん、勤務後ご飯行きましょうよ」
優奈ちゃんが誘ってくれる。
「遠藤先生の合コンの店に、こっそり入ってしまいましょうよ」
遠藤先生の合コンなんて興味ない。
いつもなら、そんな強がりを吐いていただろう。
でも、遠藤先生が離れていってしまった私には、もはやそんな余裕はなかった。
こくりと頷いた私は、
「やっぱり遠藤先生が好きなんですね」
優奈ちゃんに容赦なく問い詰められた。
この時はすっかり忘れていた。
漢マンであること、性格が悪いこと以外の遠藤先生の欠点を。
致命的とまでいえる、遠藤先生の欠点を。
その欠点を知っていれば、合コンだって安心して構えられただろう。