最恐ドクターの手懐けかた
「遠藤先生……それ、バレますよ?」
思わず言ってしまった私に、
「バレねぇよ。
三年間バレてねぇから」
勝ち誇った顔で彼が言う。
三年もこのノートはここにあるのか。
バレないなんて、奇跡だ。
「それに、ここに置いてあると頭に浮かんだ瞬間に書けるからな」
そう言って遠藤先生はもう一度ノートを取り出した。
そのノートの表紙には、大きく汚い文字が書かれている。
『遠藤の。絶対見るな!』
はぁ……
やっぱり遠藤先生の頭はおかしい。
絶対見るなって書かれて、見ないはずがない。
これを見つけても見なかった人は皆、心が優しすぎる。