最恐ドクターの手懐けかた





「遠藤先生……それ、バレますよ?」



思わず言ってしまった私に、



「バレねぇよ。

三年間バレてねぇから」



勝ち誇った顔で彼が言う。

三年もこのノートはここにあるのか。

バレないなんて、奇跡だ。




「それに、ここに置いてあると頭に浮かんだ瞬間に書けるからな」




そう言って遠藤先生はもう一度ノートを取り出した。

そのノートの表紙には、大きく汚い文字が書かれている。

『遠藤の。絶対見るな!』






はぁ……

やっぱり遠藤先生の頭はおかしい。

絶対見るなって書かれて、見ないはずがない。

これを見つけても見なかった人は皆、心が優しすぎる。


< 185 / 273 >

この作品をシェア

pagetop