最恐ドクターの手懐けかた
うわっ……どうしよう。
それが率直な意見だった。
遠藤先生、内診してたんだ。
私だって内診紛いのことされたんだ。
想像するとかあっと顔が熱くなる。
いけないと思うのに、この気持ちはすぐには消えてくれないようだ。
すごく気まずく下を向く私に……
「おはよう、冴木」
何事もなかったかのように彼は挨拶する。
一方、
「お……おはよぅござぃます」
私の声はみっともないないほど震えていた。
そして、ずきんとする。
あの時は奈々なんて呼んでくれたのに、また冴木に戻っているから。
あの奈々は幻だったんだ。