最恐ドクターの手懐けかた
「遠藤先生、ピアノ弾けるんですね。
……てことは、ギターとかも出来るのかな?」
ビクッとする私の隣で、優奈ちゃんはしんどそうに身を屈めてカルテを見ている。
「どうしたの?
身体、大丈夫?」
思わず聞くと、
「大丈夫です。
生理痛が酷くて」
優奈ちゃんはまたまたそんなことを大きな声で言う。
「子宮悪いのかなぁ。
一回診てもらったほうがいいと思います?
あ、でも、遠藤先生だけは絶対に嫌です」
その言葉を聞き、近くにいた中井先生が笑っていた。
私も笑いながら……ふと思った。
あれ?生理は?
もう十日くらい遅れている。