最恐ドクターの手懐けかた




助産師として働く私は、たくさんの赤ちゃんの生死を目の当たりにしてきた。

それとともに、たくさんの母親の涙も見てきた。

赤ちゃんを諦めなければいかない母親は、必ず震えて泣いていた。

そして、生まれてきた赤ちゃんを大切に抱きしめ、ともに病院を去って行ったのだ。

私が子供を産む時は、この人たちのぶんまで幸せになろうと決めていた。

命の大切さを知っているから、大切に出来ると信じていた。

そんな私の選択肢はただ一つ、「未婚の母」だ。


< 235 / 273 >

この作品をシェア

pagetop