最恐ドクターの手懐けかた
中井先生の手には……遠藤先生の秘密ノートが握られているのだ。
表紙には大きく『遠藤の!絶対見るな!』なんて書かれていて、見てくれと言っているようなものだ。
それを見た瞬間、ささーっと血の気が引いた。
マジで……?
遠藤先生の秘密、バレてしまったんだ!!
「な……何かの間違いじゃないですか?」
必死に否定しようとした。
自分のことで頭はいっぱいだ。
だが、遠藤先生を守らなきゃと思った。
「遠藤先生が漢マンのはずがないです!」
だって、漢マンだとバレたらイメージが変わってしまうから。
そのイラついた言葉は何の威力も無くなり、ただ馬鹿なおっさんだとレッテルを貼られるだけだから。
……いや、寂しいのかもしれない。
遠藤先生の秘密を知るのは私だけでいい。
遠藤先生が人気者になってしまったら癪だし……寂しいから。