最恐ドクターの手懐けかた
「昨日気付くべきだったよね。
だってエンディーのピアノ、ありえないくらい感動したんだし」
面白そうに笑う中井先生に、
「それに遠藤先生、艶の子供なんですよ?」
何気ない顔で、遠藤先生の秘密その二を暴露する優奈ちゃん。
それでさらにナースステーションは大騒ぎになってしまって、私は逃げるようにバルコニーに出た。
自動販売機の下を見ると、そこに遠藤先生のノートが置かれている。
遠藤先生もノートを隠す必要がなくなった。
これで堂々と作詞作曲出来るだろう。
きっと、これからこの病棟は、さらに盛り上がるだろうな。
楽しくなるだろうな。
……退職なんて、したくないな。
だけど、遠藤先生の子供を身ごもってしまった私には、彼とともに仕事をするなんて考えられなかった。