最恐ドクターの手懐けかた
この病院に受診し続けると、いずれは遠藤先生に会うことになる。
それは絶対に避けなければならなかった。
「じゃあ、寂しいけど紹介状書いておくね」
「ありがとうございます」
「お体、お大事にね」
畑中先生のその一言に泣きそうになった。
シングルマザーとして生きていくことを決意した私は、退職後も当然働き続けるつもりだ。
赤ちゃんは、そんな私の決意を分かってくれたのかもしれない。
悪阻真っ盛りのこの時期なのに、気持ち悪いのきの字もないのだ。
むしろ絶好調。
……私の心を除いては。