最恐ドクターの手懐けかた
病棟に戻ると、ナースステーションは騒がしかった。
また漢マンのことで馬鹿騒ぎしているのかと思ったが……
「冴木、オペ室入れるか?」
焦った顔の遠藤先生が聞く。
それで、はいと頷いた。
「駅で倒れた妊婦が送られてくる。
腹痛が酷く、意識朦朧としているらしい。
出血もあるから、帝王切開になるかもしれねぇ」
「はい」
頷きながら、気を引き締めた。
仕事に私情を持ち込んではいけない。
そんなことは当然だし、小野先生も言っていたから。
あと五日、必死で働こうと思った。