最恐ドクターの手懐けかた





術衣に着替えてオペ室に入る。

すでに女性には点滴が取り付けられ、緊急帝王切開術の準備が着々と進められていた。

緑色の術衣の遠藤先生と、新生児科の中井先生が到着する。

麻酔がかけられ、その大きなお腹にメスが入った……






さすがだった。

病棟で暴れ回っていた暴君は、素早く的確な手技で開腹し、素早く赤ちゃんを取り出す。

青黒くなり産声も上げない赤ちゃんを受け取り、中井先生に渡す。

必死で蘇生が行われ、頑張れ頑張れと祈った。




どうか生きて。

お母さんに元気な顔を見せてあげて。






願っているうちに頭がぼんやりしてきて……

視界が暗くなり、床が迫るのが見えた。




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