最恐ドクターの手懐けかた








結局、森田さんの陣痛は進まないまま、私は日勤を終えた。

森田さんがはやくお産を迎えられることを祈るばかりだ。

引き継ぎをしていると、遠藤先生がバタバタとナースステーションから出て行ってしまった。

今日はもう帰るのだろうか。

デートの用事でもあるのだろうか。





ぽかーんと遠藤先生を見ている私に、新生児の健診に来ていた中井先生が言う。




「もしかして奈々ちゃん、エンディーのこと好きなの?」



「そっ、そんなことないです!!」




むしろ、願い下げです!!

今日は酷く怒鳴られずに済んでホッとしているところです。

私はため息をついていた。


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