最恐ドクターの手懐けかた
体勢を変えようと腕を伸ばすと、ズキッと痛みが走った。
思わず腕を見ると、点滴の跡から微かに血が流れていた。
それに気付き、慌てて止血をしてくれる遠藤先生。
その手が触れるたび、ドキドキが止まらない。
「……ったく、点滴吹っ飛ばす馬鹿がいるか」
悪態をつく遠藤先生に、
「点滴吹っ飛ばす馬鹿に、こんなにふざけた固定しかしない馬鹿がいますか?」
言い返していた。
すると、バツの悪そうな顔で黙り込む遠藤先生。
そのいじらしい態度すらツボで、ぎゅっと抱きしめたくなる。
秘密がみんなにバレても、どうやら私は彼の「たった一人の女性」でいてもいいようだ。
そして、私の存在自体が遠藤先生の弱みなのかもしれない。
こうして私は、大好きな最恐医師と家族になった。
私は最高に幸せだ。
ー完ー