最恐ドクターの手懐けかた
「森田さんも一日半、よく頑張ったよね」
先輩の言葉に頷く私。
そして、思わず言ってしまった。
「森田さん、子供の名前、おとかちゃんにするらしいです。
漢マンから取った、おとかちゃんだって」
その瞬間、遠藤先生が激しくむせ込んだ。
そして立ち上がり、
「寝る。何かあったら当直室に電話しろ」
ぶっきらぼうに言い放って消えていった。
そんな遠藤先生を見て、
「今日の遠藤先生、おかしいよね」
先輩は言う。
……そう、遠藤先生はおかしすぎる。
これも全部、私が彼の秘密を知ってしまったからだろう。
病棟イチの暴れん坊の弱みを握った私は、最強だ。