最恐ドクターの手懐けかた
そして……
日勤のナースが出勤し始めた頃、病棟にようやく遠藤先生が現れる。
すっと背が高く迫力のあるその姿を見ると、背筋がゾゾっとする……はずだった。
彼の秘密を知ってしまってから、その威力は激減しているようだ。
「おー、冴木……」
遠藤先生は、私を見るなり話しかけてきた。
ヤバイ、漢マンが来た!
逃げないと!!
そう思ったが、逃げられるはずもなく、ただただ遠藤先生を見上げる。
遠藤先生は少し逆立ったその髪を掻き上げながら、ダルそうに聞いた。
「変わりないか」
「はい」
そう答えた私に……あり得ない言葉を吐いたのだ。
「じゃあ、仕事後メシでも行くか?」