最恐ドクターの手懐けかた




「それから、その夫婦は子供を作ることをやめた。

もう辛い思いをしたくないからだと。

今は四人で幸せそうにしてるけど……ここにもう一人女の子がいたら、なんて想像してしまう。



俺が産婦人科医になってから、その女性のカルテを見たこともある。

……頸管無力症だった。

元気な双子を出産したことだって、奇跡だった……」







頸管無力症。

その名前を聞いて震えた。

総合病院である勤務先にも、個人病院から頸管無力症の患者が運ばれてくることが稀にある。

自覚症状もなく、胎児を支える頸管が突然開いて胎児が出てきてしまうのだ。



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