最恐ドクターの手懐けかた





「すみませんでした」




俯いたまま震える声で謝った。




「私……遠藤先生のことを誤解していたのかも……」





私が思うよりもずっと、遠藤先生は優しい先生なのだろう。

誰よりも患者様のことを考えている先生なのだろう。





「まぁ、てめぇらが俺を蛆虫毛虫のように嫌っているのは知っていた」



「うわっ、バレていたんですね!?」




口が滑った私を、遠藤先生が殺意を込めて睨む。

だけどその般若の顔すら胸にグッとくるのは何でだろう。

口にしたフォアグラは、苦い苦い味がした。



< 86 / 273 >

この作品をシェア

pagetop