世界が色を失ってから
やっぱり気分が良くなったからって掃除なんてするもんじゃなかった。
思い出したくもない昔のことを思い出してしまう。
涙が止まらない。
「いつき、いつきぃ、、、
なんで、いないの、
なんで、死んじゃったの…、」
樹が死んでからもうすぐ一年、
あの日、私の世界は終わると思っていた。
でも、一年経っても私の世界は続いている。
この一年間、失った悲しみや孤独感は消えず、会社も辞め貯金を切り崩したりしながら家から出ない生活になった。
この一年で体重は激減し、情緒も不安定で、何度も入院した。
一週間に一度は友達や樹の家族の充希さん達が来てくれるようになった。
申し訳ないと思っているが、今の私を変えられると自分では思えない。
樹の死を受け入れられない。
けど、受け入れるしかない現実。
どれだけ送っても返信のこないメール。
希咲と読んでくれる樹の声は聞こえない。
「…消えたいっ、、、」
「いつき、いつきぃ、、、」
泣き叫びながら周りのものをあちこちに投げつける。
「もう、いやっ!!!」
「希咲ちゃんっ!」
抱きしめられ背中を撫でられる。
「だ、だれ」
「希咲ちゃん、希咲ちゃんっ!
私よ、充笑よ」
「み、えさん?」
「うん、」
「みえさん、いつきが、いつきがいないの、、、なん、で?
なんでいないの!!!
もう、いやぁぁあ!」
「希咲ちゃん!
樹はもういないの!
ごめんねぇ、ごめんね、、」
充笑さんまで泣き出してしまった。
充笑さんが謝ることなんてないのに、
謝るべきは私なのに、、
「希咲ちゃん、でもね、樹の分まで生きて欲しいの。
だから、一緒に乗り越えよう。
何年かかってもいい、
一緒に乗り越えよう。」
いつも、私がこんな状態になると言ってくれる“一緒に乗り越えよう”
でも、私は乗り越えられると思えない。
この悲しみから抜け出せるとは思えない。
「充笑さん、私、樹がいないと生きていけないの、もう、乗り越えられないの。
ごめんなさい、樹を殺したのは私なのに…。
私が死ねばよかったのに、」
「違う!樹は事故だった。
殺してない!
死んでしまったの、もう、仕方がないの。」
充笑さんはごめんねと続ける。
そして、
「希咲ちゃん、もう何も言わないで、
眠りなさい。
何も考えちゃダメ、眠るの。
ごめんね、私には何もできないけど側にいるから、一緒に乗り越えるから。
今は眠りなさい、、」
興奮状態の私を赤子のようにあやし、
大丈夫、大丈夫だからと、
呟く充笑さん。
抱きしめられたまま、背中をトントンと撫でられ、時間をかけて私の瞼は重くなっていく。
“おやすみなさい”
そう、聞こえた気がした。
思い出したくもない昔のことを思い出してしまう。
涙が止まらない。
「いつき、いつきぃ、、、
なんで、いないの、
なんで、死んじゃったの…、」
樹が死んでからもうすぐ一年、
あの日、私の世界は終わると思っていた。
でも、一年経っても私の世界は続いている。
この一年間、失った悲しみや孤独感は消えず、会社も辞め貯金を切り崩したりしながら家から出ない生活になった。
この一年で体重は激減し、情緒も不安定で、何度も入院した。
一週間に一度は友達や樹の家族の充希さん達が来てくれるようになった。
申し訳ないと思っているが、今の私を変えられると自分では思えない。
樹の死を受け入れられない。
けど、受け入れるしかない現実。
どれだけ送っても返信のこないメール。
希咲と読んでくれる樹の声は聞こえない。
「…消えたいっ、、、」
「いつき、いつきぃ、、、」
泣き叫びながら周りのものをあちこちに投げつける。
「もう、いやっ!!!」
「希咲ちゃんっ!」
抱きしめられ背中を撫でられる。
「だ、だれ」
「希咲ちゃん、希咲ちゃんっ!
私よ、充笑よ」
「み、えさん?」
「うん、」
「みえさん、いつきが、いつきがいないの、、、なん、で?
なんでいないの!!!
もう、いやぁぁあ!」
「希咲ちゃん!
樹はもういないの!
ごめんねぇ、ごめんね、、」
充笑さんまで泣き出してしまった。
充笑さんが謝ることなんてないのに、
謝るべきは私なのに、、
「希咲ちゃん、でもね、樹の分まで生きて欲しいの。
だから、一緒に乗り越えよう。
何年かかってもいい、
一緒に乗り越えよう。」
いつも、私がこんな状態になると言ってくれる“一緒に乗り越えよう”
でも、私は乗り越えられると思えない。
この悲しみから抜け出せるとは思えない。
「充笑さん、私、樹がいないと生きていけないの、もう、乗り越えられないの。
ごめんなさい、樹を殺したのは私なのに…。
私が死ねばよかったのに、」
「違う!樹は事故だった。
殺してない!
死んでしまったの、もう、仕方がないの。」
充笑さんはごめんねと続ける。
そして、
「希咲ちゃん、もう何も言わないで、
眠りなさい。
何も考えちゃダメ、眠るの。
ごめんね、私には何もできないけど側にいるから、一緒に乗り越えるから。
今は眠りなさい、、」
興奮状態の私を赤子のようにあやし、
大丈夫、大丈夫だからと、
呟く充笑さん。
抱きしめられたまま、背中をトントンと撫でられ、時間をかけて私の瞼は重くなっていく。
“おやすみなさい”
そう、聞こえた気がした。