世界が色を失ってから

4

「…さ、希咲、起きて希咲。」


眠っている希咲に声をかける誰か、

その声によって彼女は目を開けた

そこは希咲の部屋だった

そしてそこにいたのは



「いつき？」


「おはよう。」


樹の姿を見た希咲は思わず抱きつく

「おっと、、いきなりどうした？」

「いつき、いつきぃ、、」

希咲は樹と会えたことに感動し泣き出す

彼女はもう自分が死んだと思っていた

だから、彼に会えたのだと…


「変な奴だなぁ希咲は！

ずっと一緒にいただろ？」

ずっと一緒にいた

それが彼女にとってどれだけ嬉しい言葉だろう

「私変な夢を見ていたみたい。」

そう、彼が死んだということが夢だったと思い始めるほどに…


「どんな夢？」


「樹が居なくなっちゃう夢、よかった、会えてよかった〜、いつきぃ、」


彼女の話を聞き、彼は微笑む


「大丈夫だよ、希咲。」


そう言って、彼女を強く抱きしめ、背中を撫でる


二人はそのまま少しの間過ごした



「希咲、デートに行こうか。」


「うん。

でも、お腹すいた。」


樹はハハッと笑い


「じゃあオムライス作るよ、ちょっと待ってて。」


そういってキッチンでオムライスを作り出した樹


15分ほどして、やはり卵が破けたオムライスが彼女のもとに運ばれてきた


「やっぱり卵やぶけてるね。」


「腹に入れば一緒だ。それに味には自信がある！」


樹のいうとおり、オムライスはいつも通り美味しかった

「おいしい！

そういえば、樹ってなんでオムライスだけは上手なの？」


希咲が聞くと

「秘密。」


樹はニコッと笑って答えた


食べ終わると希咲は着替えやメイクを始め、樹は皿を洗い始めた。


希咲の準備が終わると二人は手を繋ぎ家を出た


「デートってどこに行くの？」

「秘密。」

それを聞いて希咲は黙って樹について行くことにした