壊れたフィルムと時雨時

「千明ちゃん、おはよう」
それはいつもの朝の光景だった。私に無視されるとわかっていてこの男は挨拶をしてくるのである。

「・・・。」(嫌いだ。)

この男は私の幼馴染の村瀬 樹。
幼い頃から家が近所、それだけの腐れ縁。

樹は厚い眼鏡にやぼったい髪形、
丸めた背中で申し訳なさそうな表情をいつも浮かべている。
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