壊れたフィルムと時雨時

「や、しっかし今日も暑いよねぇ」
丹念に巻いた栗色の髪の毛をかき上げながらうなだれる。
「そうね、もう夏も終盤なのにね」

夏休みが終わりそろそろ涼しくなってもいいと思うのだが、一向にその兆しは見えない。
「千明は夏休み何してたぁ?夏祭り以外ほとんど会えなくて寂しかったよ~」
「私は予備校尽くしだったわ」
高校3年、大事な時期というのに優からは全く勉強している気配が感じられない。
「優は?」「あたし?あたしはね~・・・」

楽し気にこの夏のこと、もう別れた彼氏、バイト等色々な事を早口で喋る。彼女は明るくて私まで照らしてくれるような存在だ。
私は適度に相槌を打ちながら、別のことを考えていた。
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