無糖ミルクティ


隣の席なんだから、せめてよろしくぐらい言ったらよかった。
家に着いてからも内藤くんのことで頭の中はいっぱいだった。


ソファーでクッションを抱きしめ、ごろごろ、ごろごろ。
帰ってからずっと、この体制。


明日から横の席なんだ。…何だか落ち着かない。


中学どこだったんだろう?
明日こそ話せるかな?
またバスケ部に入るのかな?



…だめだ、少し外の空気を吸おう。
コンビニでも行って甘いものでも買おう。


ドアを開けるとまだ少し肌寒い風がふわり、夕方の香りを運んできた。


目指すのは家の前の大きな道路を渡って、斜めすぐにあるコンビニ。
よく利用するそこにあと少し…と、私は足を止めた。




…うそだ。




私の頭の中のイメージがついに幻覚を作り出してしまったのかと、目をこすっても、その姿は消えない。


内藤くんが、いる。



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