無糖ミルクティ


今日から私、村井羽奈は高校生になる。
入学式のために学校へ向かっているところだけど、あまり緊張はしていない。


私がこの春から通うのは、私立桜北学園の高等部で、3月まではこの学園の中等部に通っていた。
そのため、受験をせずそのまま高等部に進学。


緊張しないのはきっと今までと同じ敷地内に学校があって、私の中での高校生活は中学校の続き程度にしか考えていないからだと思う。


変化したことと言えば、セーラー服ではなく着慣れないブレザーに腕を通していることぐらい。
着慣れないブレザーといっても、母のお下がりなんだけど。
そんなことはあまり気にしない。充分綺麗だし、ぴったりだし。


肩に掛かる焦げ茶色の髪は春風に揺られ、明るい日差しに光のリングを描いた。



「羽奈っ」



聞き慣れた声に足を止めて振り返ると、予想通りの人物が立っている。




< 2 / 17 >

この作品をシェア

pagetop