無糖ミルクティ



「俺も一緒だって」

「はいはい。」

「何その微妙な顔。」

「大地、私は嬉しいよ!」

「羽奈…」

「はいはい、ジーン…じゃないからね、中はいるよ」

「お前も喜べよ風香」



私立感満載の大きな体育館に入ると、クラスごとに列が分けられたパイプ椅子に座った。
体育館の後ろに並べられた椅子は保護者用で、気合いの入った親たちが前から順に座っている。少し目がチカチカするほど色とりどりな光景。


私の親は───来ていない。
うちは母子家庭で、お母さんは仕事で忙しくて休みが取れなかったらしい。


お母さんは女手一つで大事に育ててくれた。家に一人のことは多いけれど、寂しくなんてない。
…うそ。こういう日は少しだけ、お父さんがいたらな、なんて考えてしまう。


お父さんがいたら、何か変わったのかな?


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