無糖ミルクティ



『まもなく入学式を始めます』



私はお父さんのことは何も知らない。


幼い頃に一度だけ、”なんで私にはお父さんがいないの?”と聞いたことがあった。
だけど、それは今思うとすごく酷な質問だったのかもしれない。



“ごめんね”



そういったお母さんは今にも泣き出しそうで。



“私が二人分頑張るからね”



今でもそのときの顔が忘れられない。


幼いながらに私はそれ以上聞いてはいけない気がして。
それ以来お父さんの話題を取り上げることなく、今に至る。


だからなのかそうでないのか、男の人に対する免疫があまりない私が仲のよい異性は、大地ぐらい。
もちろん恋愛なんて無縁の存在だった。



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