クールな彼と甘い時間
クールな彼と甘い時間

普段クールな私の彼は、同じ会社の企画部の部長。

会社では出来る上司なんだけど、厳しくて無口な彼は近寄りがたいみたいだ。

だけど私と二人きりの時に見せる笑顔は、私だけの特権だったりする。

最近は仕事が忙しくて会社では顔を合わせるけど、デートも出来てなくて寂しかった。

だけど今日は女の子にとって特別な日。

残業で少し遅くなったけど、約束通り私のマンションに来てくれた。

私の手料理を食べる姿に見惚れていると


「そんなにじっと見つめられたら食べづらいんだけど」

「あっ、ごめんなさい。口に合わなかったらどうしようって思っちゃって」

「……美味しいよ、冷めないうちに佳代(かよ)も食べなよ」


見惚れてたなんて口が避けても言えない。

私は洗い物を済ませると、彼の為に作ったブラウニーをお皿に入れて、コーヒーと一緒に持って行った。


「はい、これは私からのバレ……だ、ダメッ!!」


何故か私が隠していた物を触っていた。


「本を見ようとしたら、上から落ちてきたから拾ったんだけど……」


「そ、それは見ちゃダメだから返して」


「ヤダって言ったら?コレって手編みだけど俺に見られてやましい事でもあるのか?」


「そ、そうじゃなくて……今日はバレンタインでしょ?手編みは初めてだったし、失敗しちゃって見せたくなかったの」


彼は暫く私が作った出来損ないのマフラーを見つめて、ソレを首に巻いてくれた。


「失敗しようが佳代が初めての手編みのマフラーを俺の為に一生懸命編んでくれた事が嬉しいし、大事に使うよ」


彼は私に微笑んだ。


「陽一(よういち)さん……。普段はクールな陽一さんが、私だけに見せてくれる笑顔も優しさも大好き。私、今凄く幸せだよ。陽一さんと出会えて本当に良かった」


嬉しくて素直な気持ちを伝えた。


「さっきの佳代の焦り具合を見た時は、一瞬俺以外の誰かに渡すものかと思った。だけどこんなに俺を嫉妬で狂わせそうにするのは佳代だけだし、佳代以外いない。俺にとって佳代だけが特別な人だよ」


そう言って私を抱きかかえてベッドに押し倒す。


「えっ、よ、んっ」


私の言葉は彼の唇によって消された。


「ブラウニーは佳代との甘い時間を過ごしてからのお預けだ。佳代、愛してる」


そう言って蕩けるような甘いキスをした。



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