彼のカノジョさん
自分磨きを決めた日に限って私は残業になってしまった。せっかくカルチャースクールに寄ってみようと考えていたのについてない。


目の前に置かれた書類にため息をつき、落としたはずのPCを立ち上げた。周りをみるとさすがに金曜日、残っている人は少ない。真崎さんは今日は打ち合わせで外にでている。この時間だと直帰になるだろう。定時に誘いにきた女の子はふてくされてフロアを出ていった。


「お先に~」
「お疲れ様です」
「何、田辺、金曜日に残業か?寂しいなぁ」
「いえいえ、お誘い断るのが大変で」
「見栄をはるな、俺が悲しくなる」
「じゃ、ほっといてくれます?」
「いやぁ田辺が心配で心配で」
「ではいい人紹介してください」


去年結婚したばかりの鳥羽さんは私を時々からかってくる。奥様も元ウチの社員さんで、私の指導係もやってくれた方なので、一緒にご飯とかにも連れてってくれるお兄さんお姉さん的な存在だ。
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