彼のカノジョさん
「ほら、早くやって終わらせちゃおう。なっ?」


ここで意固地になると余計真崎さんの時間を奪ってしまう。「お願いします」と差し出した書類を「んっ」と受け取った真崎さんの顔はすぐに仕事モードになった。私も早く終わらせなきゃ。と集中した。


「...終わった...」



最後のデータを打ち込み保存する。時計をみると定時より2時間ほど過ぎたところで終わらせることができた。真崎さんのおかげだ。


ふと隣をみると真崎さんがいない。席をたったことにすら気づかなかった。


「帰ったのかな?」


声をかけられなかったことに疑問を抱いたが急いでいたのだろう。デートに遅れそうになっていたのかもしれない。


「だから大丈夫だって言ったのに...」


置いてきぼりの想いが胸を締め付け泣きたくなった。もう誰もフロアにいない。泣いてしまおうか。そうしたら想いも全て流してしまえるだろうか。


「さみしい...」


ポロっとこぼれた呟きを合図に涙が流れた。


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