彼のカノジョさん
「なってよ。オレのカノジョに」
「えっ?...いや、何を...?」
「オレと付き合って?カノジョになってよ、田辺」


頭を撫でていた手がいつの間にか滑り落ち、私の頬を包んでいた。真崎さんの熱く優しい視線が私をまとう、


「で、でも、真崎、さんには、カノジョ、さんが...」


親指がスルスルと頬を撫で「それなんだけどさ」と真崎さんが話を続ける。


「オレ、一言もカノジョがいるなんて言ったことないんだよね」
「え?でも!大事なコがいるって」
「うん、大事なコはいるよ」
「......?」


頭の中は?マークでいっぱいだ。カノジョさんはいない。大事なコはいる。で、私にカノジョにならないかって、


「好きなコは大事でしょ?たとえ片思いだってさ」
「片思い?真崎さんが?」
「はい、かなりヘタレなんです、オレ。好きだって言い出せなくてここまで来ちゃいました」


イタズラに笑う真崎さんに私は目が点になってしまっているだろう。
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