彼のカノジョさん
ふんわりと笑いながら女の子から一歩離れる真崎さん。女の子は真っ赤になってフロアから出ていった。


振り返った真崎さんは「参った」って感じで笑いながら同僚たちの輪の中に入っていった。



『誤解させたくない大事なコ』


そんな大切な女性が真崎さんにはいる。


真崎さんは優しく接してくれるし、誉めてくれるし、ついついその気になってしまうこともあるが、でも絶対に誘いにはのらない。
部内の飲み会とかには参加するが、女性からの個人的な誘いは断るか、他のメンバーを誘い、二人きりでは出かけない。


誤解させたくないから。大事なコに。


初めてその断りの文句を聞いたときはショックだった。
大事なコ=カノジョであろう。真崎さんほどの男性だ。恋人がいないわけがない。


今もその言葉を聞くと胸が痛い。その一方でカノジョさんを大事に想う真崎さんにどうしようもなく惹かれてしまう。
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