私は恋を知らない、はずだった
「柳瀬に告白でも、すんの?」
ちょっと心配そうな顔をして言っている。
え?女子と女子だよ?たぶん私は男性が恋愛対象だよ?なんか話飛んでない?
あ、敬語が飛んでたわ。すいません。
「何言ってるんですか、二藤先輩。私と柳瀬先輩は女同士ですよ?」
「ははは、そうだよな。俺のこと知らなかったんだから知らないよな。ごめんごめん。けど、柳瀬は男だよ?」
ははは。っえ?嘘でしょという目で柳瀬先輩の方を見る。
長いしたまつ毛と口元のほくろがセクシーな綺麗な色気のある美女って感じ。
さすが年上。これが男?いやいや、ないわー。
「えーっと、男だよ…。知らなかった…?」
目をぱちぱちしながら、固まる私。
現実を受け止められず、目眩がして柳瀬先輩の方に倒れ、ポスッと柳瀬先輩の胸元に顔が当たる。
私を支えている柳瀬先輩は、見た目に似合わず男らしい。
あー確かに、この胸は違う…、ぺったんこだ…。背も高いしなー…。よく見ればズボンだ…。
「男…、男子トイレ入るんですか?」
「…うん、そうだね」
よく聞いたら、声も低いわー…。
「水泳の時どうしてるんですか…?」
「普通に上裸で参加してる」
「柳瀬先輩って、二藤先輩のファンってことはそっちの趣味がおありなんですか…?」
「そういう訳じゃないよ、ただ、スポーツができて、頭がいい二藤が憧れなだけ。」
あー、そういう…。
「そういうのは好きです。」
そっちの趣味よりはいいという意味を込めて、へらっと笑顔を作り、もたれかかっていたのをすぐやめて自力で立つ。
二藤先輩と柳瀬先輩の顔が赤い。